「ソシオ制度」を御存じだろうか。FCバルセロナやレアル・マドリード
といった世界的にも著名なフットボールクラブがマネジメントの中核と
して採用する制度である。仮にレアルが本年のCWCに出場するとすれば、
日テレのアナウンサーが実況中に呪文のように連呼するかもしれん(笑)

本書はこの制度の特徴について規約や日本の法律レベルと照らし合わせて
紹介をするとともに日本のスポーツビジネスにソシオ制度を導入するには
どのような取組みが必要なのかを検証した内容となってる。

法律等の部分は一応、ベースがあったので比較的すぐに理解ができた部分もあるが
現状分析や意外と知ってるようで知らなかったバルサのソシオの細かい制度について
紹介している点からして、実践的ではあったが非常に面白い本であった。。

■ 日本でいう「非営利法人」が運営するFCバルセロナ

この「ソシオ」というのは「仲間」という意味。クラブでいうところの
仲間と考えると私のような観戦者側であればサポーター、ファンという
応援者を連想するし、もしくはスタッフなどを日本では連想しがちだ。
(実際、FC東京等はファンクラブに「ソシオ」を冠していたりする)

本書ないしは制度を導入しているクラブにおいて、ソシオというのは
ソシオ「会員」を指している。何だ、やはりサポータークラブではない
かと思われがちだが、この「会員」はクラブの運営に参画できるのだ。

プロ野球球団やJリーグのクラブの運営といえば会社組織を連想する。
クラブのトップは球団「社長」で球団の「株主」が親会社がもつという、
特に野球者には非常に馴染みのあるフレーズなのでよくわかるだろう。

しかし、バルサやレアルといったビッグクラブではソシオ会員がクラブの
意思決定を決める総会に出席、投票で決めた経営陣がクラブを仕切る
というシステム(=ソシオ制度)
を取っている(もちろん条件を満たし、
会費を支払えば一般の人でも普通に会員になれる)。会社ではなく日本でいう
非営利法人(例:NPO法人、一般社団法人等)が運営をしているのである。

■ 「与えられる」ものではなく「支えていく」という意識

上記の関係性からもわかると思うが、会費を支払い経営に参画する権利を
有することは、クラブに対するアカウンタビリティを有することになる。
極端な例だが、仮にクラブ運営に批判をして、その経営陣等を選んだのはソシオ
の総意であることから責任はそのままソシオ会員にも降りかかる。ソシオ会員は
真の意味でクラブを「支えていく」という立場にあると言えるだろう。

本書のゴールは「日本でソシオ制度を導入する」であるが、本書の著者
が指摘するようにこの制度は理想的であるものの非常にハードルの高いものだ。
本書の指摘は非常に的確だと思ったが最も共感したのが「意識」の問題である。

日本におけるスポーツとは「与えられるもの」という意識が一般的だ。
地域で行政がこしらえた運動公園、スポーツ施設等が充実しており無料ないし
比較的に安価な価格で運動することが可能であり、興行についてもお金を払い
見に行く娯楽である。また、日本では当たり前の体育教育や部活の存在もある。
世界的に「学校」で「無料」でスポーツができることは結構、珍しいことらしい。

また、戦後の企業を軸としたクラブ活動の発展がわが国のスポーツ発展に
貢献してきたことも大きい。私がゆうすけ君と見に行った都市対抗野球が良い
例だと思うが、企業スポーツの軸はスポーツ活動という「福利厚生」の側面が
強く(内野席の模様や当事者たるaero君の話を聞くに社内行事の一環といえる)
プロであれば、大株主たる親会社「宣伝広告」の意味合いが色強くなっている(※)。

もちろん、こうした投資や環境が、五輪での日本選手の活躍等に貢献してきた
ことはまぎれのない事実であるが、本書の著者である谷塚氏も指摘するように
特にバブル崩壊の90年代以降の情勢を鑑みると、経済環境に左右されやすい
日本のスポーツ界の現状を考えると、さらなる発展のためには形を変えていく
必要があるだろう。

■ ソシオ制度導入の考え方は、社会保障制度の発想に近い?

谷塚氏が本書でソシオ制度を紹介したのは、日本のスポーツ環境の現状を
背景とした、新たなスポーツ運営のモデルを提示するためであるといえる。

すなわち企業や行政のバックアップによって「与えられる」という形から、
参加者の負担で「支えられる」形を通じて、地域全体の財産を築き上げる
形に変えていくことが、今後のスポーツ発展に求められるということである。

そのために、著者はまず「意識改革」を促している。。
与えられていたものを負担するというのは、なかなか難しい。

丁度、私が昨年末に会社のレポートで書いていた税と社会保障制度の事例
にも通ずるところがある。社会保障制度の手厚い保護を訴える声が高まって
いるが、これまでの制度は高度経済成長期の人口構成・経済環境をベースに
していることから、今の少子高齢化社会・経済停滞の現状を鑑みると苦しい。
だからこそ、今更ながら応益者負担・年金引上げ等の話になっているのだ。

こうした点を踏まえると、私も今の日本のスポーツビジネスのモデルでは
厳しいという認識を早い段階で持つところから始めるべきだと考えている。
親会社・スポンサーが離れた=活動停止という悲劇はJであればフリエ、
野球では近鉄だけでも周知の事実なはず。すぐには難しいかもしれないが、
徐々に広まってほしい。

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※:この点については、昨年発売された「国鉄スワローズ1950-1964」
(堤哲、交通新聞社新書)が非常に参考となる。現在のヤクルトの元となる
国鉄は、職員の福利厚生という側面から球団を立ち上げ2リーグ移行時の
セに参入した。実際、各地鉄道団の野球部は活躍をしていて野球熱も高く、
当時の職員たちによる応援も熱烈であったという記録が伝えられている。

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Jリーグ再開が決まった。川崎フロンターレの初戦の相手はベガルタ仙台。
再開日程を見て「もしや」と思って確認したらそうだった。ズーンときた。

昇格やタイトルのかかった試合は何試合を経験してきたけど、それ以上に
重みのある試合だろう。等々力陸上競技場の近くにあるとどろきアリーナ
には福島県から避難されている方もいらっしゃるし、川崎フロンターレの
スポンサー様にはJA全農福島様が名を連ねている。ただ、応援すること
だけが仕事なんだけど、でも、気持ちを込めて最高の雰囲気を作り出して
仙台、日本が元気なんだということを世界に発信していく気概で行きたい。

もちろん福島の人たちにも勇気を与えたい、フロンターレがついてます。
TEPCOマリーゼも何とかならないかなぁ。

http://www.youtube.com/watch?v=6df25r1mqKs

明日のために、今、走り出す。今年のJリーグのテーマが妙にフィットする。

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鈴木愛理しかり、YGA(春日さん)、SUPER☆GIRL、スフィアとチャンピオンが
ようやく本来のグラビアにおける「トリッキーさ」を取り戻してきて嬉しい(笑)

2週前の巻頭「バチバチ」+横綱・白鵬インタビューという相撲へのリスペクトと
グラビアはチャンピオンマスコットガールというセレクトが絶妙すぎて最高だった。
来週はアイドリング!!!9号の横山ルリカ嬢なので買おう。。

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