NHKでアニメ化まで決まったらしい通称「もしドラ」。今年の春ごろ、日経の
広告欄でひときわ異彩を放った表紙イラストを見て、関心はあったんですが、
逆に話題になりだすと関心が薄れるタイプだったので。。
先日、ゆうすけ君と感想を書くという話になり契機を得て購入。
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今更なんですが物語。公立高校の野球部のマネージャーに
なった主人公・みなみがとマネージャー関連の書籍として、
何故かドラッカーの「マネジメント」を読みだしたことから、
野球部にドラッカーの理論を取り入れることになるという話。

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難しい理論や学説にしても、出来るだけ噛み砕いて説明することで
暗記モノの世界を飛び越えた、着実な理解へと繋がっていくと思う。
例えば、池上彰さん「高校生からわかる『資本論』」もそうですし
今流行のマイケル・サンデル教授「ハーバード白熱教室」もそうだ。

サンデル教授の虜になってる私もそうですが、難しい哲学の理論を
身近な事例と学生との対話を使って理解を深めていく手法というのが
非常に高い評価と関心を呼んでるようですね(いつか取り上げたい)。

本書の場合、これを経営の神様とも言われるドラッカーのマネジメント
理論を高校野球部という事例を用いて、紹介をしているというものだ。
具体的には弱小の都立高校の野球部を甲子園に導くために、マネージャー
のみなみが“マネジャー(管理者)”として組織の強化を図るというもの。

率直な感想ですが、資本論や政治哲学と比較すれば、マネジメント理論の
紹介は簡単なモノに感じる。というのも、ドラッガー「マネジメント」は
『組織で働くすべての人たちの道しるべ』(週刊ダイアモンド11月16日号)
と言われているように、私も含めて誰しもが何かしらの組織に所属(経験)して
いるわけで、そこには少なからず疑問や課題というのに直面をするからだ。

本書はそれを普通に会社等に置き替えず、高校野球部と女子マネで説明した
という変化球が、やはりヒットにつながる面白いアプローチだと感じている。
野球部という組織と活動の中でマーケティング、イノベーション等の理論を
いかには当てはめていくのか?みなみとともに考えていく過程も面白かった。

特に「マーケティング=顧客創造」「イノベーション=新しい価値の創造」の
「マネジメント」の根幹をなす部分を高校野球という純然たる体育競技の世界
において定義づけていくのか、といった序盤から中盤の流れが興味深かった。。

また、ひたすら組織力の向上に徹した強化方針というのは、趣向は違うかも
しれないが「大きく振りかぶって」で本格的な科学的トレーニングの導入を
描いた際に感じた、ある種の新鮮さもあった。ここら辺、アニメ化した際には
地味にも映るかもしれないだろうが、是非ともしっかり描いてほしいと思う。

ただし、ドラッカー入門ないし入口的書籍としては非常に面白いとは思うですが、
一方で野球小説という点においては物足りなさ、説得力には欠ける点はあります。

組織の問題解決と練習内容の改善において、組織の活性化に成功したという部分
はわかるのですが、チームとしてのポテンシャルや個人能力の向上という部分の
描写は、作者が野球に詳しい人物ではないため仕方ない点がありますが残念かなと。
そこがノンフィクションとの差異といえばそうなんですが、ちょっともったいない。

まぁ、ストーリーに拘らず、何度も読み返せるライトさを選んだのであれば、本書の
趣旨からすれば正解なのかもしれない。私も何度かパラパラ読み直してますしね。。

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