温めていたレビューなのだが、忘れる前に書いてみる。
昨今、ヌルヌルや亀田でTBSと格闘技興行のあり方について問われた。
TBSと興行スポーツの歴史を紐解けば「国際プロレス」にあたる。

力道山率いる「日本プロレス」が日本初のプロレス団体である。
団体の背広組の吉原功氏が独立して設立されたのが国際プロレスだ。
(その経緯については、複雑かつ長くなるので省略する)

現在のライブプロレスとは異なり、時代はTVプロレス全盛だった。
当初は放映もなく、馬場・猪木といったスター選手もいなかった国際は動員に苦しむ。
そこで吉原社長が交渉を持ったのがTBS、S43年1月から放映がスタートが決まった。
外部からの相談役も外部から呼び、経営権は吉原氏からTBS主導の団体となる。

放映開始のシリーズの目玉としては、世界王者・ルー・テーズに若手レスラーを挑戦させた。
名レスラーに若きエースが勝利することで「シンデレラストーリー」を演出するつもりだった。

もちろんテーズは断ったが、説得により納得したフリをして試合をすることに。
結果、3本勝負の1本目にテーズのバックドロップに沈んだ若手選手は失神により棄権。
(これは後の当事者の証言によると失神をしたフリをしていろと言われたらしいが)

TBS側の思惑はコレによって大きく外れて、団体のイメージもダウン。
その後もトラブルが続いて、TBS側が経営からは2ヶ月で撤退したのだ。
(こうやってみると時代は繰り返すというか、いろいろと考えさせられるものである…)
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前置きはここまで(飽きられてるだろうが)、DVDの内容が本題だ。
この「伝説の国際プロレス」はTBS放送時代の名場面が収録されている。
上記のような大変な出だしだったが、このDVDを見る限りでは非常に濃い内容だ。

時折、国際プロレスを「パイオニア団体」と表す言葉がある。
当時は未開の欧州からの外国人選手の発掘、国内初の金網デスマッチなど。
他の団体ではやってない、見たことのないことに挑戦していたのが国際だった。

エースとなったのは「風雲たけし城」でお馴染みのストロング金剛(小林)さん。
今や「気合いだ」で有名なアニマル浜口さんのキャリアもここから始まってる。

有名なアンドレ・ザ・ジャイアントも国際で始めて脚光を浴びた選手だ。
当時としては珍しいショーマンタイプのレスラーや技巧派レスラーも多く来日している。
その時代を知らない当方としては、非常に新しい発見の多い光景であった。

試合内容としても内容は濃いものが多いが、地味に思えたのかもしれない。
スター選手がいなかったことや新日本・全日本の新団体旗揚げで観客動員にも苦しんだ。

TBSからの放送打ち切り後は、テレ東での放送される国際プロレス。
(テレ東時代の映像は「不滅の国際プロレス」として3月発売予定)
各種デスマッチ・流血凶暴な外人との戦いは、今日のデスマッチの原点だろう。

昭和プロレスの新たな一面を覗ける、貴重なDVDでした。

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