生たまご ゆでたまごのキン肉マン青春録
2009年7月19日 読書
昨年『kamipro』にて「キン肉マン変態座談会」という企画が組まれた。
キン肉マン好きの格闘技ライターとミノワマンによる変態達にが熱く×2
同作品の魅力について語るという内容(後に『UWF変態新書』に収録される)
話の展開が、飲み会の時に我々があげる話題と同じだったあたりを見ると
キン肉マンが大好きな人の思考ってのは、結構似通っているものなのかと
考えさせられた。(例えば、「次鋒レオパルドンいきます」あたりとかね)
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さて、本書はデビュー30周年を迎えた『キン肉マン』の作者・ゆでたまご
先生が、これまでの半生を書き下ろした自叙伝。もちろん、ゆでたまごは
中井先生と嶋田先生のお二人のユニットなので、構成は「中井」と「嶋田」
という形で交互に語っている。これは、かなり珍しい収録方法だと思っている。
とはいえ、有名な話でもあるようにお二人は小学校からの同級生なので、
少年時代の途中からは、ほとんど同じ事象をそれぞれ取り上げられている。
まず、読み終えた感想としては二人の半生こそ「キン肉マン」の世界観そのもの
であると感じた。離婚や親の病死等で、お二人とも困難な少年時代を過ごしている。
出会った二人は、マンガを通じて、ライバルとなり、そして熱い友情が生まれてくる。
学生時代、本当に固い決意を持って漫画家を志した二人。在学中にデビューを果たす。
デビュー後も迷いや打ち切りの危機を乗り越え、黄金時代のジャンプでの人気1位獲得
を目指して切磋琢磨(しかも、彼らのデビュー半年後には鳥山明先生が登場している)。
そして、ご存じのように『キン肉マン』は不動の人気を得て、一時代を作ったのだ。
まさに、あの作品の超人ファイトのような友情パワーの賜物だったのだと思い知らされた。
次に、あまり語られなかった集英社からのフリー転向後の苦難の日々は初めて知ること
ばかり。まぁ「Ⅱ世」の連載開始までの、数年間は集英社を離れていたのは知ってたが。
キン肉マン以降の連載がことのごとく打ち切りにあい自信喪失をしたお二方。
ある程度の手ごたえを持ってフリーになるも、こちらでも連載が長く続かなかった。
そうしたこともあって、中井先生なんかは「ギブアップ宣言」も出していたらしい。
それでも、嶋田先生が「もう少し頑張ろうよ」と声をかけたのだと。ここでも友情パワー。
そして、『キン肉マンⅡ世』で復活、そして集英社への帰還を果たし、現在に至っている。
また、本書を考えてみると、ある意味でこれも今年流行の漫画家の自伝作品の位置
なのかと思う。ゆで先生もそうであるように、傾向として少年漫画誌が根付いてきた
70年代-80年代の手塚先生、藤子先生をリスペクトしてマンガ家を志した世代が多い。
新人賞レース、連載での人気競争および壮絶なスケジュールでの制作での苦闘が描かれ
様々なライバルや編集者と出会い、マンガ家として独り立ちしていく様を、それぞれの
視点と経験で語られていく。事実は小説より奇なり、というが、まさにドラマチックだ。
ある意味で、全てがフィクションではあるが『バクマン』のカウンターパートになりうる
存在ともいえる。人生や仕事によっては過労死するほど、命をかけていた漫画家の決意に
比べてしまえば「何だ、こいつら」と思ったりはするだろう。そうした声も、割と聞く。
ただ、私は以前も書いたと思うが、『バクマン』のジャンルは『漫画家』ではなくメタ構造
をもつ『ジャンプ』であることを忘れてはならない。また、以前、ブルーノートさんやナギー
さんとの流行アニメの傾向について話した時もそうだが、時代環境の相違がある以上、別時代
のムーブメントを単純に比較してはいけないということも頭に入れておかねばならない。
話はそれたが、本書でも語られていた「もう一度、キン肉マンを書きたい」という
想いが印象に残った。今『プレイボーイ』連載中の「キン肉マンⅡ世」超人タッグ編は
ニュージェネレーションが過去にトリップし、現役のレジェンド世代と相対する展開
なので、半分くらい実現しているのかなと思わされた。スグルたち、本当に躍動してます。
私もマシンガンズVS万太郎・カオス組は毎週、連載で追うほど楽しみにしてます。
最初は、展開も割と微妙な印象だったんですが、今ではタッグ編も結構好きな流れ。
結構なボリュームでしたが、かなりのめり込んで読みました。キン肉マニアは必読。
キン肉マン好きの格闘技ライターとミノワマンによる変態達にが熱く×2
同作品の魅力について語るという内容(後に『UWF変態新書』に収録される)
話の展開が、飲み会の時に我々があげる話題と同じだったあたりを見ると
キン肉マンが大好きな人の思考ってのは、結構似通っているものなのかと
考えさせられた。(例えば、「次鋒レオパルドンいきます」あたりとかね)
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さて、本書はデビュー30周年を迎えた『キン肉マン』の作者・ゆでたまご
先生が、これまでの半生を書き下ろした自叙伝。もちろん、ゆでたまごは
中井先生と嶋田先生のお二人のユニットなので、構成は「中井」と「嶋田」
という形で交互に語っている。これは、かなり珍しい収録方法だと思っている。
とはいえ、有名な話でもあるようにお二人は小学校からの同級生なので、
少年時代の途中からは、ほとんど同じ事象をそれぞれ取り上げられている。
まず、読み終えた感想としては二人の半生こそ「キン肉マン」の世界観そのもの
であると感じた。離婚や親の病死等で、お二人とも困難な少年時代を過ごしている。
出会った二人は、マンガを通じて、ライバルとなり、そして熱い友情が生まれてくる。
学生時代、本当に固い決意を持って漫画家を志した二人。在学中にデビューを果たす。
デビュー後も迷いや打ち切りの危機を乗り越え、黄金時代のジャンプでの人気1位獲得
を目指して切磋琢磨(しかも、彼らのデビュー半年後には鳥山明先生が登場している)。
そして、ご存じのように『キン肉マン』は不動の人気を得て、一時代を作ったのだ。
まさに、あの作品の超人ファイトのような友情パワーの賜物だったのだと思い知らされた。
次に、あまり語られなかった集英社からのフリー転向後の苦難の日々は初めて知ること
ばかり。まぁ「Ⅱ世」の連載開始までの、数年間は集英社を離れていたのは知ってたが。
キン肉マン以降の連載がことのごとく打ち切りにあい自信喪失をしたお二方。
ある程度の手ごたえを持ってフリーになるも、こちらでも連載が長く続かなかった。
そうしたこともあって、中井先生なんかは「ギブアップ宣言」も出していたらしい。
それでも、嶋田先生が「もう少し頑張ろうよ」と声をかけたのだと。ここでも友情パワー。
そして、『キン肉マンⅡ世』で復活、そして集英社への帰還を果たし、現在に至っている。
また、本書を考えてみると、ある意味でこれも今年流行の漫画家の自伝作品の位置
なのかと思う。ゆで先生もそうであるように、傾向として少年漫画誌が根付いてきた
70年代-80年代の手塚先生、藤子先生をリスペクトしてマンガ家を志した世代が多い。
新人賞レース、連載での人気競争および壮絶なスケジュールでの制作での苦闘が描かれ
様々なライバルや編集者と出会い、マンガ家として独り立ちしていく様を、それぞれの
視点と経験で語られていく。事実は小説より奇なり、というが、まさにドラマチックだ。
ある意味で、全てがフィクションではあるが『バクマン』のカウンターパートになりうる
存在ともいえる。人生や仕事によっては過労死するほど、命をかけていた漫画家の決意に
比べてしまえば「何だ、こいつら」と思ったりはするだろう。そうした声も、割と聞く。
ただ、私は以前も書いたと思うが、『バクマン』のジャンルは『漫画家』ではなくメタ構造
をもつ『ジャンプ』であることを忘れてはならない。また、以前、ブルーノートさんやナギー
さんとの流行アニメの傾向について話した時もそうだが、時代環境の相違がある以上、別時代
のムーブメントを単純に比較してはいけないということも頭に入れておかねばならない。
話はそれたが、本書でも語られていた「もう一度、キン肉マンを書きたい」という
想いが印象に残った。今『プレイボーイ』連載中の「キン肉マンⅡ世」超人タッグ編は
ニュージェネレーションが過去にトリップし、現役のレジェンド世代と相対する展開
なので、半分くらい実現しているのかなと思わされた。スグルたち、本当に躍動してます。
私もマシンガンズVS万太郎・カオス組は毎週、連載で追うほど楽しみにしてます。
最初は、展開も割と微妙な印象だったんですが、今ではタッグ編も結構好きな流れ。
結構なボリュームでしたが、かなりのめり込んで読みました。キン肉マニアは必読。
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