コケたら映画作るの辞めます
■ 「スカイ・クロラ」
まず、私的な今回の誤算は「予習しすぎだ」ということか(笑)
余りに予備知識をフルに詰め込んで(原作は除く)望んだばかりに
初見特有の驚きが少なかったというのはダメじゃないかと。。。
それでも面でしか見切れてないため、細部を見ないと思う変態。
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次に、ネタバレをしない程度に内容における現段階での考察を挙げてみる。
自分が現段階(1度の鑑賞)で思ったこと、考えたことは以下の二点となる。

一つは、ある映画評論家の指摘でもあるが、見終わって若干自分も共感したのは
「スカイ・クロラ」には「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」の更新と
見て取れなくは無いこと。物語の作り、設定、仕組みという部分で近いと感じた。

もう一つは、設定としては非常にドリーミーなもので作っているというのに、監督が
提示したものは圧倒的な現実、残酷なまでのリアリズムだったということだと。
「若者達に伝えたいこと」が夢いっぱいのことだったら、たしかに意味がないか。

では、面という全体像から、ある部分に集中して、線と点という部分で見た
ときに気づいた部分、または印象に残ったところをネタバレしない程度に挙げる。

■ 起承転結、押井節の封印
押井作品が苦手だと答える人の何割かは「何を言ってるのかわけわかんない」
という押井ロジックの複雑性が苦手というのが主な理由ではないだろうか。

結論から言うと『スカイ・クロラ』は物語レベルでそういうのは全然無いです。
それっぽい「ショーとしての戦争」という要素は原作設定(ですよね?)ですし。
ただし、撮影の構図やディティールレベルでロジックを積み重ねてはいます。

起承転結のメリハリもあって、主人公の函南ユーイチの視点で見た始まり
から終わりというのが描かれています。だから、結構見る分にはすんなり見れる
のではないかと思います。少なくとも「イノセンス」や「立喰師」のときの
大きな?を背負って家路に着くということは、あまりないのかもしれませんね。

■ 背景力、戦闘シーンには鳥肌立つ
「スカイ・クロラ」は劇場作品平均の1000カットを下回る700カットの2D作画面
しか切っていない。しかし、長回しのシーンの多様と3Dを駆使して圧倒的な
空中戦闘シーンを表現している。長回しのカットを映し出す心理状況、
映画の中で流れる固有の時間をひしひしと感じるので、綿密に書きこまれた
背景と共に見入ってしまう。また、戦闘シーンは凄すぎて何だかよくわからない(笑)

■ こういった状況だからこそ脇を固める声優陣を見る
初めて有名俳優を起用した本作だが、持ち味が出ていたので全然問題は無い。
ただ、敢えて、ここで押井らしいキャスティング陣が脇を固めているので注目。

喫茶店を営む夫婦に竹中直人とひし美ゆり子、整備班長(原作とキャラ変更)
に榊原良子、娼婦に兵頭まこ、安藤麻吹を起用。またいい存在感を出している。
まぁ、兵頭まこの若々しい感じの声(失礼)なんかは無駄に耳に残るわけで。
竹中直人は台詞3つしかなかったので「これだけですか」と驚いたそうだ。

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結構、絶賛の方向で書いているんだけど、正直、オススメと言えるか
というと喉が詰まります。それはエンタテイメントしては、ハリウッドのそれ
に比べれば渋すぎるし、恋愛映画としてもあまりにもブルージーだからである。

愛を歌うにしてもポップ、あとは少し前にはやったバラードなんが好きな人は
周りにいると思うんですけど、ブルース好きってなかなかいないと思うのですよ。
そう考えると「やっぱ、一般受けしないなぁー」と思ったわけですね、ええ。

あとは「若者達に伝えたいこと」ってのがあんまり鮮明ではない、たぶん見た人は
「内容はわかったけど、それで何が言いたかったんだろう?」ってハテナをやはり
落とす可能性がある。それは大きいものではないにしろ、割と重いハテナだろう。

まぁ、とにもかくにも、自分はあと2度は見に行かないと。

画像は監督による♪ゴージャスデリシャスデカルチャー(大嘘)

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